内分泌内科の受診をお考えの方へ

既に大学病院などで内分泌内科を受診されたことのある方でなければ、「内分泌」という言葉が耳慣れない方も多くいらっしゃると思います。体内では、ホルモンと呼ばれる数多くの伝達物質によって様々な体の機能が調整されています。ホルモンの一種として、成長ホルモンやアドレナリンなどは聞き覚えがあるのではないでしょうか。

そして、ホルモンの分泌が多すぎたり少なすぎたりすることで起こる病気を内分泌疾患と呼び、内分泌内科では、下垂体や甲状腺、副腎などから分泌される様々なホルモンの異常によって起こる病気を専門的に拝見いたします。

内分泌疾患は自覚症状に乏しいことが多く、なんとなくだるい、不自然な体重の増減などの症状から専門性の高い視点で病気を疑わないと、長期間に渡り放置されてしまうこともあります。ホルモン異常の中でも甲状腺機能に異常が起こる病気は女性に多く見られ、バセドウ病や橋本病という病名を聞かれたことのある方もいらっしゃるかもしれません。以下のような症状が思い当たる方は一度、当院へお越しくださればと思います。

このような症状があれば内分泌内科の受診をお考えください

  • 疲れやすくなった
  • 身体がむくみやすくなった
  • 首が腫れている気がする
  • 安静にしていてもドキドキする
  • 手の指が震えることがある
  • 暑がりになった
  • 喉が渇きやすく、水をよく飲むようになった
  • 身体が冷えやすくなった
  • よく食べているのに痩せてきた
  • あまり食べていないのに太ってきた
  • イライラしやすくなった
  • 落ち着かないことが増えた
  • 肌がカサカサするようになった など
  • 内分泌疾患は、経験豊富な医師が的確に診断して早期に治療を開始することができれば、長く苦しんできた症状が改善され、生活の質を大きく向上する可能性があります。

    当院では病気の早期発見、早期治療を行うことで健康寿命の延伸を目指して診療を行っておりますので、気になる症状やお悩みがおありの際は、些細なことでもどうぞお気軽にご相談にお越しください。

    甲状腺機能の異常

    甲状腺機能低下症

    甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足することで起こる病気です。甲状腺ホルモン不足すると全身の代謝が低下し、それによって体の様々な機能が低下します。一例として、消化管の機能が低下すれば便秘になりますし、精神機能が低下すれば眠気や記憶障害、抑うつ症状や無気力を引き起こします。その他にも、皮膚の乾燥や脱毛、むくみ、声のかすれ、体重増加、寒気、疲労感などの症状がありますが、症状が軽い場合には診断の決め手になりづらく、治療が遅れてしまう可能性もありますので、些細な症状でも一度当院を受診されることをお勧めいたします。

    甲状腺機能亢進症

    甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰になることで全身の代謝が亢進し、食欲が湧いてよく食べているのに体重が減ってきたり、暑がりになって全身に汗をかくようになります。また、疲れやすくなる、動悸を1日中感じるようになる、手が震えて字が書きにくくなる、足や全身が震えるようになるといった症状も見られます。その他にも、イライラして怒りっぽくなったり、排便の回数が増えるなど症状が多岐に渡りお困りになる方も多いので、気になる症状がおありの際は、ぜひ一度ご相談にお越しください。

    甲状腺疾患でよく見られる病気

    バセドウ病

    バセドウ病は、特殊な抗体によって甲状腺が刺激されることでホルモンが過剰に作られてしまう病気です。新陳代謝が活発になりすぎてしまうことで、安静にしていても動機がするようになったり、少し動いただけで息切れするようになります。主な症状は甲状腺の腫れや動悸ですが、その他にも、イライラ感、集中力の低下、不眠、脱力感、手足の震えなどが出現することもあります。尚、バセドウ病の症状として眼球突出が挙げられることがありますが、実際にはそれほど多くありません。

    橋本病

    橋本病は、免疫反応により甲状腺に慢性的な炎症が起きる病気で、幅広い年代に見られますが、特に中高年の女性に多く見られます。橋本病になると甲状腺ホルモンの量が低下し、新陳代謝が低下するため、全身が老け込むような風貌になることがあります。その他にも、無気力になる、忘れっぽくなる、寒さに弱くなる、皮膚が乾燥してカサカサになる、全身がむくむ、眠気が取れないといった症状が見られますので、これらに当てはまる場合は、お早めに当院へお越しください。

    無痛性甲状腺炎

    無痛性甲状腺炎は、何らかの原因で甲状腺が破壊されてしまうことで、その中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出してしまう病気で、痛みを伴わないため「無痛性甲状腺炎」と呼ばれます。尚、通常は一過性のもので、数ヶ月もすると甲状腺ホルモンの量が正常値に戻ります。主な症状は比較的短期間の動悸、暑がりになる、体重減少などがあります。積極的に治療をしなくても改善することが多いため、経過観察とすることもありますが、動悸などの症状が強い場合にはお薬による治療を行いますので、一度当院へお越しくださればと思います。

    亜急性甲状腺炎

    亜急性甲状腺炎は、甲状腺に炎症が起こることで、血中の甲状腺ホルモンが増加する病気で、治癒までの期間が急性と慢性の中間くらい(2~4ヶ月くらい)なため「亜急性甲状腺炎」と呼ばれます。ウイルス感染などによって起こるケースが多いとされていますが、詳しい原因は分かっていません。主な症状は状腺の辺りが硬く腫れ、痛みが起こります。また、痛みの発生部位は左右に移動することがあります。甲状腺ホルモンが血液中に多く流出した時は、動悸や手の震え、倦怠感が強まります。
    初期には通常の喉の風邪と判別が難しいことも多く、喉の症状でお困りの際は一度ご相談にお越しください。