甲状腺とは

甲状腺は喉ぼとけの両側にあり、新陳代謝を促進するホルモン(甲状腺ホルモン)を出す器官です。
甲状腺の病気には、「甲状腺機能低下症」「甲状腺機能亢進症」といった機能面から見たものと、甲状腺の腫れ具合から見た「甲状腺腫」があります。男性では50~100人に1人、女性では30~60人に1人といった割合で、実は比較的多くの方が甲状腺の病気に罹患しています。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足することで起こる病気です。甲状腺ホルモンが不足すると全身の代謝が低下し、体の様々な機能が低下します。一例として、消化管の機能が低下すれば便秘になりますし、精神機能が低下すれば眠気や記憶障害、抑うつ症状や無気力を引き起こします。その他にも、皮膚の乾燥や脱毛、むくみ、声のかすれ、体重増加、寒気、疲労感などの症状がありますが、症状が軽い場合には診断の決め手になりづらく、治療が遅れてしまう可能性もありますので、些細な症状でも一度当院にご相談ください。

甲状腺機能低下症の主な症状

  • むくみ
  • 気温によらず寒さを感じる
  • お肌が乾燥する
  • 食事量が変わっていないのに体重が増えている
  • 便秘
  • だるさを感じる、気力が出ない

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰になることで全身の代謝が亢進し、食欲が湧いてよく食べているのに体重が減ってきたり、暑がりになって全身に汗をかくようになります。また、疲れやすくなる、動悸を1日中感じるようになる、手が震えて字が書きにくくなる、足や全身が震えるようになるといった症状も見られます。その他にも、イライラして怒りっぽくなったり、排便の回数が増えるなど症状が多岐に渡りお困りになる方も多いので、気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。

甲状腺機能亢進症の主な症状

  • 動悸がする(心臓がドキドキする)
  • 気温によらず暑さを感じる、汗をかきやすくなった
  • 手が震える
  • 息切れしやすくなった
  • 疲れやすくなった
  • 食事量が変わっていないのに体重が減っている
  • 微熱が続く
  • 月経不順

甲状腺機能の検査について

当院では甲状腺機能を確認する血液検査やエコー検査を行っています。
血液検査は即日結果をお伝えし、治療に入ることが可能です。

甲状腺ホルモンは、甲状腺で作られるホルモンで、4つのヨウ素を含むサイロキシン(T4)、3つのヨウ素を含むトリヨードサイロニン(T3)の2種類が存在します。細胞の新陳代謝を盛んにする、交感神経を刺激する、成長や発達を促進するという、重要な役割を持っています。
甲状腺ホルモンは、下垂体(脳の直下にある内分泌臓器)から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調整されています。
甲状腺測定器は、TSH、FT3、FT4値の結果が当日に分かりますので、別日に検査結果を聞きに改めてご来院いただく必要がございません。お越しいただいた当日に検査結果をお伝えし、治療をすぐに始めることが可能です。
また、治療効果の評価もすぐに行える為、治療方針の決定・新しい治療を迅速に行うことができます。

※ 採血後の待ち時間は外出していただくことが可能です。
※ 当日結果をご希望の場合は、診察終了時間の90分前までの受診をお願いいたします。
※ 毎月第2週の火曜日午後、第4週の木曜日午後は機材メンテナンスの為、即日結果のお伝えができません(後日結果をお伝えすることは可能です)。当日結果をご希望の場合はこちらの日を避けてのご予約をお願いいたします。

甲状腺疾患でよく見られる病気

バセドウ病

バセドウ病は、特殊な抗体によって甲状腺が刺激されることでホルモンが過剰に作られてしまう病気です。新陳代謝が活発になりすぎてしまうことで、安静にしていても動悸がするようになったり、少し動いただけで息切れするようになります。主な症状は甲状腺の腫れや動悸ですが、その他にも、イライラ感、集中力の低下、不眠、脱力感、手足の震えなどが出現することもあります。尚、バセドウ病の症状として眼球突出が挙げられることがありますが、実際にはそれほど多くありません。

橋本病

橋本病は、免疫反応により甲状腺に慢性的な炎症が起きる病気で幅広い年代に見られますが、特に中高年の女性に多く見られます。橋本病になると甲状腺ホルモンの量が低下し、新陳代謝が低下するため、全身が老け込むような風貌になることがあります。その他にも、無気力になる、寒さに弱くなる、皮膚が乾燥してカサカサになる、全身がむくむ、眠気が取れないといった症状が見られますので、これらに当てはまる場合は、お早めに当院へお越しください。

無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎は、何らかの原因で甲状腺が破壊されてしまうことで、その中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出してしまう病気で、痛みを伴わないため「無痛性甲状腺炎」と呼ばれます。通常は一過性のもので、数ヶ月もすると甲状腺ホルモンの量が正常値に戻ります。主な症状は比較的短期間の動悸、暑がりになる、体重減少などがあります。積極的に治療をしなくても改善が見込まれ、経過観察とすることもありますが、動悸などの症状が強い場合にはお薬による治療を行いますので、一度当院へお越しくださればと思います。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、甲状腺に炎症が起こることで血中の甲状腺ホルモンが増加する病気で、治癒までの期間が急性と慢性の中間くらい(2~4ヶ月くらい)なため「亜急性甲状腺炎」と呼ばれます。ウイルス感染などによって起こるケースが多いとされていますが、詳しい原因は分かっていません。主な症状は甲状腺の辺りが硬く腫れ、痛みが起こります。また、痛みの発生部位は左右に移動することがあります。甲状腺ホルモンが血液中に多く流出した時は、動悸や手の震え、倦怠感が強まります。
初期には通常の喉の風邪と判別が難しいことも多く、喉の症状でお困りの際は一度ご相談にお越しください。

妊娠を希望されている方・不妊治療中の方へ

妊娠を希望されている方や不妊治療中の方の中には、甲状腺機能の異常が不妊や流産の原因となることをご存知の方も多いのではないかと思います。
そのため、これから妊娠をご希望されている方や不妊治療中の方には、スクリーニング検査として甲状腺機能の検査を受けることをお勧めいたします。

また、既に甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症の治療をされている方は、妊娠に際し、甲状腺ホルモンを適切な値にコントロールすることが重要となります。

当院では甲状腺機能を確認する血液検査やエコー検査を行っています。
血液検査は即日結果をお伝えし、迅速に治療に入ることが可能です。ぜひご利用ください。

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